10/21/2019

オーギュスト・ペレのパレ・ディエナ+FIAC


FIAC au Palais d'Iéna/ August Perret

オーギュスト・ペレの建てた Palais d'Iéna パレ・ディエナに、FIAC(Foire International d'Art Contemporain) パリ・コンテンポラリー・アートフェアの作品を場外展示中です。パレ・ディエナはペレの鉄筋コンクリート建築の代表作の1つで、以前にこのブログでも取り上げましたが(オーギュスト・ペレとフランクリン通り25番地のアパート、再度見る事ができました。

まず作 品の方から。Giuseppe Penoneのタイトルは "Matrice di Linfa" 直訳するとリンパの行列。作品は樹齢100年の杉の大木を2つに割って、中をくりぬき、赤い植物樹脂を流し込んだもの。床はレザーを繋ぎ合わせたカーペットで覆われています。受付にあった写真集を見ると、ジュゼッペ・ペノーネの作品は、木の枝、幹、石を使った作品が殆どで、自然と動物をテーマとした一見エコロジックなアプローチ・・・

初めから建物の方に興味があり、作品はついでだったとはいえ、ちょっとがっかりしました。ま二つに割られた幹、無残に切られた枝・・生き生きした自然は感じられず、自然の死骸のよう。リンパ、多分樹液のつもりの樹脂も、まるで血のよう。木を使えばエコロジックだとは限らないですよね。樹齢100年の木を切ってしまうのは? それにこの革のカーペットは、いったい何頭の動物の革が使われているのか?
しかしペレの大ホールの高い天井と梁、両側の円柱、大窓の中央に置かれた作品は、沢山のコンクリートの直線の中に漂うボートの様でもあり、この大ホールの幾何学的な美しさと面白いハーモニーだと思いました。
                   
 外壁のデザイン。ペレ特有の、透かし模様のコンクリートの装飾。
そしてやはり何といっても圧巻なのは、この螺旋大階段。
全部コンクリートそのままの素材の見える天井、壁、床。漆喰や塗料で塗ったりせずに、コンクリートそのままの表面を、混ぜる小石の大きさを変えたり、少々違った色に仕上げたりでアクセントを付けるだけで、ペレは本来あまり美しくないコンクリートの美しさを最大に引き出して見事です。そしてコンクリートを使っても、あくまでクラッシックなアールデコの設計。

Palais d'Iéna    9 Av.d'Iéna 16e   10月24日まで

オーギュスト・ペレのチャペル
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2014/11/blog-post_12.html
オーギュスト・ペレのヴィラ・スーラ
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2013/09/blog-post_20.html
オーギュスト・ペレとフランクリン通り25番地のアパート
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2014/02/25.html
30年代建築めぐり/ マレ=ステヴァンス、ルコルビュジエ、オーギュストペレ&Co.
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2018/12/30.html

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